思索の断片
スリランカの建築探訪 - あとがき –
8日間にわたり綴ってきたスリランカの建築探訪も、この映像をもってひと区切りとなります。
建築を理解するには、その土地の空気を吸うしかないのではないか。
今回の旅を通じて、あらためてそんなことを感じました。
ビデオクリエイターのクシダさんとともに訪れたスリランカでは、ジェフリー・バワの建築を巡りながら、光や風、庭と建築の距離感、そしてその土地に根付いた暮らしに触れることができました。
写真や図面だけでは伝わらないものがあります。
室内へ入り込む風。
刻々と変化する光。
建築と自然との境界が曖昧になる感覚。
それらを身体で感じることで、なぜバワの建築がこの土地から生まれたのか、少しだけ理解できたように思います。
そして今回、バワの思想を受け継ぐ建築家の方々にもお話を伺う貴重な機会をいただきました。
チャンナ・ダスワッテ氏、ムラド・イスマイル氏、マリンダ・リヤナゲ氏。
彼らの言葉から感じたのは、形を継承することではなく、
その土地の風土と向き合いながら建築をつくるという、バワの深い思想でした。
この12分の映像には、旅の中で出会った風景、建築、人との交流、そして現地で感じた空気を込めています。
文字や写真だけでは伝えきれないスリランカの記憶を、ぜひご覧ください。
最後に、この旅を通じて改めて心に残ったことがあります。
1951年、サンフランシスコ講和会議において、スリランカ代表ジャヤワルダナ氏は、日本への賠償請求を放棄し、
「憎しみは愛でしか消えない」という言葉を残しました。
遠い国の歴史の中で、日本とスリランカを結ぶ深いつながりがあったこと。
その背景を知った上で、この国の建築や人々の温かさに触れられたことは、
この旅をより特別なものにしてくれました。
現地で感じた風や光、人との出会いは、これからも小さな思索の断片として、
建築を考える中に残り続けると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


